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商品開発STORY(なし>なしのチャツネ/なしみつ/なしのコンポート)

商品開発STORY(なし>なしのチャツネ/なしみつ/なしのコンポート)

きっかけはドラム缶でした。

4年ほど前、規格外で廃棄する梨をドラム缶に移していた時です。
「もったいない」「加工品に出来ないの」―。スタッフからの一言です。

それなら、自前で加工品をつくろう!

その当時、全国的に梨の加工品は数多くありましたが、梨の特徴を生かした物はほとんどなく、その多くは香料などを添加して、梨を少量使っているだけの物がほとんどでした。
加工業者からも、「梨は水分が多くて加工に向かないし、和梨は特徴が出しにくい」などの意見が多く、加工賃が割高な割にはありきたりな物ばかりでした。
通年で販売出来る梨の加工品は、消費者からのニーズもあり、また梨の規格外品の取扱いは、創業当時からの課題でした。
そのため、当農園でも多くの業者に依頼して様々な加工品にしてみましたが、特徴のある商品となると、割高となり売りづらい物となりました。
そこで、スタッフの意見をまとめたところ、まず「梨の特徴をいかした商品を作ろう」となり、梨をよく知る女性スタッフの手によって試作をしてみることにしました。

コンサルタントとの出会い、梨への想い

いざ試作品をつくろう、となっても加工品の知識が皆無だったため、コンサルタントに意見を求めることにしましたが、コンサルタントの知人がいなかったため、6次産業化プランナーをご紹介いただくことになりました。中でも四国で農産加工品の実績があり、全国的にも名の通ったブランド商品の開発実績がある方にコンサルティングをお願いしました。この出会いが大きな一歩となりました。
商品の方向性も決まり、商品のイメージを具体化するためにどうしたものか、とコンサルタントに相談したところ、懇意にされている地域商品をブランディングできるデザイナーをご紹介いただきました。全国の各地域で選定される「NIPPONの47人 2015 GRAPHIC DESIGN」にも選出されたデザイナーで、開発当初からの状況や想いをデザインに込めるよう、以降は商品開発にも同席していただきました。

まず、コンサルタントから言われたことは、「売り先を考えた商品づくりをすること」でした。全国的に多くの消費者に求められる商品はナショナルブランドに対抗できないので、こだわった商品を求める消費者に向けた商品開発を目指しました。
また、既に商品化されているものと似たような商品づくりは避けて、他の産地との競合も避けることにしました。
更に、高付加価値化、具体的には「添加物や保存料の使用を避け、健康志向のユーザに向けた商品開発」を目指しました。そして何より、「美味しさと梨の品質の良さ」にこだわって商品開発をしていくことは、譲れない想いでした。

開発する商品の決定と苦悩、、、一筋の光

まず、候補に上がった商品は宮崎のマンゴーチャツネからヒントを得た「なしのチャツネ」と、手軽に梨の食感が楽しめる「なしのコンポート」です。

最初に手掛けたのは、「なしのチャツネ」でした。
多くの香辛料を調合してみましたが、どんな味が消費者に受け入れられるのかわからず、味を決定することが出来ませんでした。そこで、ベースとなる梨の果実を煮込んだ物を試食し、味のベースを確認したところ、予想外に甘く優しい味となり、驚きました。結果として、何も添加せずに梨の甘みを強調し商品化することを決断しました。
ただ、試食アンケートなどで「色合いが明るい方が良い」との意見をいただき試行錯誤しましたが、なかなか思うような仕上がりになりませんでした。そして解決策のないまま時が過ぎ、2015年2月に開催された「スーパーマーケット・トレードショー」に出向いたところ、そこで出会ったある加工機材に目がとまりました。この機材ならひょっとして、、、とメーカーまで出向いて試作したところ、色合いが明るくなり「これなら商品化ができる!」と進めることになりました。この加工機材との出会いは大きな転機で、のちにでてくる「なしみつ」においても大きな役割を果たしてくれます。

「なしのコンポート」については、当初は砂糖で味付けした試作品で試食アンケートを行いました。味の評価は良かったのですが、「なしのチャツネ」が砂糖不使用なのに対して、砂糖を使用している部分の評価は良くなく、類似品との差別化も出来ませんでした。

当分の間「なしのコンポート」の開発は暗礁に乗り上げてしまいましたが、最後の新商品である「なしみつ」の開発により、砂糖不使用のコンポートを作成することが可能となりました。
しかし、砂糖不使用だけではインパクトが弱いと判断し、更なる付加価値を求め試行錯誤をしました。そんな中、コンサルタントに紹介していただいた尾道市内のお茶屋さんの協力の元、焙煎した玄米を使用することで、洋風のスイーツなのに和風なお菓子、として他にはない商品を開発することが出来ました。このお茶屋さんは、お茶を海外へ紹介して店舗展開もされているお茶屋さんで、メディアにも数多く取り上げられています。お茶の知識はもとより、販売展開にも精通されていて、新商品の販売展開にも意見をいただいています。

最後の新商品である「なしみつ」は、「なしのコンポート」の開発でなくてはならない調味料ですが、「なしのチャツネ」の開発途中で、「果汁を煮詰めた物なら他の商品の味付けに使用でき、汎用性の高い商品になるのではないか」と試作を始めました。
ただ、果汁の採取の仕方で味が変化するため、実際に試作を始めると多くの時間を要することとなりました。また「なしみつ」は、果汁を濃縮する作業に時間を要し、短縮しようとすると苦味が出るなどの課題も多く苦慮していましたが、先ほどご紹介した東京での展示会で出会った厨房機器を使用することで、一気に商品化のめどが立ちました。

こうした様々な外部の専門家と、組合長をはじめとした農園のスタッフが一丸となって、新商品の開発に取り組んでいきました。

幾度となく試食を重ね、アンケート結果を踏まえて、ようやく、、、

コンサルタントから、「商品開発には、消費者の意見が重要」と指示されていたこともあり、試作の初期段階から、直売店で試食アンケートを行いました。
まず、「なしのチャツネ」と「なしのコンポート」の試食アンケートを平成26年2月に行いました。
 
「なしのチャツネ」と「なしのコンポート」ともに味の評価は大変良かったのですが、「なしのコンポート」は砂糖で味付けした物でしたので、砂糖を使用しない「なしのチャツネ」と比較して、商品特徴が薄いとの評価でした。この評価を受け、「なしのコンポート」については再検討することとしました。
平成26年11月、広島市内で開催された「ビジネスフェア」にお邪魔して、バイヤーの方々に「なしのチャツネ」を試食してもらい、また12月に政策金融公庫で職員さんに試食していただき評価してもらいました。
味の評価もよく、「コンセプトがしっかりとしているので、広島の産品として扱いたい」とも言ってもらえました。
ただ、色合いがもう少し明るく仕上げることは出来ないかとか、商品の使用シーンが分かりづらいなど、具体的な意見をいただき、改良や今後の課題などが明確になっていきました。

平成27年1月下旬より、直売店で再度「なしのチャツネ」の試食アンケートを実施し、想定できる使用シーンの意見を求めました。 「その場で試食して店頭でペーパーに書き込んでもらうだけでは、具体的なイメージまでは出来ないだろう」との意見から、サンプルを提供して自宅で実際に使用してもらい、ペーパーだけでなくWEB上でも回答してもらうようにしました。
WEBを活用したアンケートは、農園のホームページを作成・管理して頂いている業者にお願いして、データ収集から集計まで行ってもらい、消費者の意見を明確にすることが出来ました。

「なしのチャツネ」の仕上がりの色に苦戦していましたが、平成27年2月に東京での展示会に出展されていた厨房機器メーカーのテストキッチンで試作させてもらったところ、想定以上の出来栄えとなったので、この機材を導入することにしました。
また、試作中だった「なしみつ」の問題点も改善され、商品化が可能になったのも、展示会を視察したおかげです。
「なしみつ」の商品化が可能となったことで、「なしのコンポート」の試作を再開しましたが、他の類似所商品との差別化には相当苦慮しました。
尾道市内のお茶屋さんにはコンセプト会議から参加してもらい、コンセプトにも合致する原料として、世羅町内で生産された玄米を焙煎した物を提供してもらい試作したところ、今までにない風味の「なしのコンポート」となり、試食アンケートを実施出来るまでになりました。

平成27年7月に道の駅世羅で、「なしのチャツネ」「なしみつ」「なしのコンポート」の試食アンケートを実施し、300名を超える方々から意見を頂きました。
性別や、年代ごとの意見を細かく集計し、PR方法などを検討し、後の展示会出展時の参考としました。
平成27年8月に東京での「アグリフードEXPO」、平成27年11月には広島市内での「ビジネスフェア」にも出展し、一般消費者だけでなく、バイヤーの意見も求めました。
味に対する評価は高く、類似した商品も少ないことから、多くの方に興味を持ってもらえました。「なしのチャツネ」と「なしみつ」の用途をきっちり説明して、レシピなども準備して美味しく召し上がっていただけるように計画しています。

商品への想い

多くの試作をして、アンケートや展示会での意見を参考にして、最終的には、「なしのチャツネ」「なしみつ」「なしのコンポート」ともに、添加物・保存料不使用、砂糖不使用の商品とすることができました。アルコールやカフェインも不使用です。
 これにより、健康志向ユーザに向けた付加価値の高い商品になったと思います。素材を活かしたナチュラルな味を追求して、すべてが手作業による「手作り」にもこだわった自信作です。原料の確保が容易な農園だからこそ「粘り強く、試行錯誤を繰り返していく」ことで、商品化することができたのだと思います。

「なしのチャツネ」「なしみつ」「なしのコンポート」とも、アンケートでは「贈り物用に購入したい」との意見が多くありました。まずは一度、ご自宅用でご購入されてご賞味いただいたうえで、お贈りされてもいいでしょうし、生産者の商品への想いやアンケート評価などを参考にされて、ご購入いただければ幸いです。
今後は、地域を代表する商品になるように育てていくために、「まっすぐ、誠実」に取り組んでいきます。

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